2014年10月10日金曜日

〇発表 要旨〇指出 尚枝(M1)

スペンサーの白鳥の歌
―『プロサレイミオン』再考―
                             

エドマンド・スペンサー(Edmund Spenser, 1552 - 1599)は16世紀英国、エリザベス1世の時代に活躍した宮廷詩人である。「スペンサー連」という韻文形式を作り出した詩人としてもよく知られている。チョーサー風の古風な文体も特徴的である。
スペンサーの作品中で最もよく知られるのは、エリザベス1世に捧げた『妖精女王』(The Faerie Queene 1590-1609)である。彼はこうした寿ぎの歌で評価されており、エリザベス・ボイルと詩人自身の結婚を歌った『祝婚歌』(Epithalamion1595)はそのうち最も評価の高いものである。『祝婚歌』と並んで祝いの歌として挙げられるのが、サマセット家の双子の娘たちの婚約を祝った『プロサレイミオン』(Prothalamion 1596)である。これはスペンサーが亡くなる直前に書かれたものであるが、『祝婚歌』に比べてあまり取り上げられていない。
本発表では、精読を通した『プロサレイミオン』の再評価を試みたい。まず、テクストの解釈を、過去の注釈を引用しながら確認する。次に、韻律などの音声面の分析から、『プロサレイミオン』に見られるスペンサーの文体の特徴を挙げていく。そして、テクストの意味と音とのコラボレーションを取り上げながら、流れ続けるテムズ川の時の経過と語り手の心情の変遷が響き合う様子を、詳細に分析してみたい。



参考文献
Andrew Hadfield. Edmund Spenser: a life. Oxford UP. 2012.
Jennifer, Klein, Morrison. Matthew, Geenfield, ed. Edmund Spenser: essays on culture and allegory. Aldershot ; Burlington : Asgate , 2000.
Hugh Maclean, Anne Lake Prescott. selected and edited. Edmund Spenser's poetry : authoritative texts, criticism. 3rd ed .New York : Norton, 1993.
Richard, A, McCabe.ed. The Oxford handbook of Edmund Spenser. Oxford: Oxford UP, 2010.
小田原謡子 訳 『スペンサーとその時代』南雲堂, 2011.
谷隆一郎 『詩人の詩人スペンサー日本スペンサー協会20周年論集』九州大学出版会,2006.

福田昇八 川西進 編著『詩人の王スペンサー』()九州出版会, 1997.

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